1年生に向けて「『伊勢物語』「筒井筒」についての講演会」を開催

平成30年12月11日(火)UP

1年生に向けて「『伊勢物語』「筒井筒」についての講演会」を開催

 11月14日(水)の5・6校時、本校国語科が主催し、1年生に向けて「筒井筒の物語―『伊勢物語』『大和物語』そして能〈井筒〉―」を演題として講演会を開催しました。
 講師は、能の研究者であられる三宅晶子先生(横浜国立大学教育学部教授)です。(写真右)

 10月、1年生は「国語総合」で『伊勢物語』「筒井筒」を学習しました。古典の授業というと文法に終始してしまう印象があるかと思いますが、古典文学のおもしろさの一つは、文学の深奥たる広がりにあります。『伊勢物語』はその成立以来、『古今和歌集』や『源氏物語』と並んで教養の要として受容され、さまざまな文学に影響を与えてきました。
 その変遷を、三宅先生から、次のようにご講演いただきました。

 『伊勢物語』は平安時代前期に成立しました。その中の、二十三段「筒井筒」は、地方に暮らす男と幼なじみの女、河内の女の三人を描いた物語です。和歌を中心として語られる物語で、叙述は雅やかですが、一方で抽象的で不明点も多いです。

 それを『大和物語』は独自の解釈をもって補います。例えば、「もとの妻が嫉妬しないわけがない」と思ったのか、「実はすごく嫉妬していたのを抑えていた」というふうに書き直されます。

 また、鎌倉時代から江戸時代には『伊勢物語』の注釈書がいくつも書かれました。わたしたちが古文を難しいな、と思うように、昔の人々も理解するためにいろいろ考えたのです。その中で「筒井筒井筒にかけし」という歌を「五つのときに約束した」と解釈する注釈があります。これが能〈井筒〉の謡(うたい)に影響しています。

 世阿弥は『伊勢物語』やその注釈書を元に能〈井筒〉を完成させました。おもしろいのは、「井のもとに出でて遊びける」を、「水鏡をして遊んだ」と解釈していて、シテが井戸に見立てた作り物をのぞき込む場面があることです。これは現在、他の注釈に見られない解釈です。教科書には小林古径「筒井筒図」、子どもたちが水鏡をしている絵が掲載されています。みなさんが教科書で読む「筒井筒」は、能〈井筒〉の影響を受けているのです。

 このように、『伊勢物語』にはじまった「筒井筒」の物語は時代を経るとともに様々な解釈をされ、ときに新しい要素を付加され、またそれをふまえて読み継がれてきました。


 少し内容がむずかしかったか、と心配していましたが、講演後の感想には「表現の違いに気づいた」「伊勢物語が評価されている理由がわかった」「改めて、古典は楽しいと思いました!」など書かれていました。この講演を通して、少しでも、生徒の古典文学への意識が深まったらうれしいです。

 三宅先生、お忙しい中、探求心が刺激されるようなご講演、ありがとうございました。







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